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童話 「小さな丘の小さな家」
2017-06-01 Thu 12:10
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図書室へ行った。  
小さな茶色の本があった。
題名があった 「雫詩」 って。

その中のひとつに目がとまった。



 「小さな丘の小さな家」




            
 小高い丘の上に、小さな家がありました。

家の前には細い一本道が、ふもとの町まで続いていました。



家の横には大きな橡の樹が、家を守るように立っています。

風がそよぐと、大きな掌のような枝や木々が、さわさわと、やさしい音を奏でています。



小さな家には、おばあさんが、一人で暮らしています。

昔は、おじいさんと、とても仲良く楽しく暮らしていましたが、今は一人になっていました。




おばあさんの楽しみは、おじいさんの写真に話しかけることでした。



小さなお花畑に、四季折々の花を植え、

花が咲いた事や、蝶やトンボが舞った事。


小さな命を大切にした、おじいさんの喜びそうな話を、

そして時には、子狐が遠くの森から遊びに来てくれた事も。




写真は答えてはくれないけれど、二人で暮らしていたときと同じように、笑顔で聞いてくれます。




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ある朝のことです。



小さな女の子が、ひとり赤いランドセル背負い、目の前の道を歩いていました。


見ていると、長い黒髪を風にそよがせながら、通い慣れたように、


早足で麓に駆け下りて行きます。


みるみる小さくなって、すぐに見えなくなってしまいました。



その日、自転車に乗って町まで買い物に。

行きは簡単。

自転車に乗って、子供のように両足をぴょんと左右に伸ばして、下り坂を駆け下りるだけです。

でも帰り道は大変、坂道の始まりから、自転車を押さなければいけないから。



登り坂、

自転車を押して

帰り道の時・・・



とうとう疲れて自転車を止めて休もうとした時、

急に自転車が軽くなり、前に進むではありませんか。



びっくりして振り向くと、朝の少女が自転車を押してくれていたのです。


「あら、まあ・・ありがとう」おもわず、お礼を言うと。



「坂道、大変だから、押してあげるね」と、言ってくれました。



女の子が「よいしょ」押してくれるので、

おばあさんも一緒に「よいしょ」と、掛け声をかけて、登って行きました。



一人で登る坂道が、

今日はとても楽しい帰り道になりました。




やっと家に着きました。




「ありがとう、本当に助かったわ・・えっと・・お名前は?」

「あかりです、みんなはアカって呼ぶよ」



「そうなの、じゃ、アカさん、お礼にジュースでも、どう?」

「うわあ、嬉しいな、良いの?」



「ええ、小さな力持ちさんにお礼をしたいから」と微笑みました。




おばあさんは、ずっとずっとひとりぼっちだったから、

本当に久しぶりの会話が嬉しくて、楽しくてしかたがありませんでした。




・・・・・




「おばあさん、暗くなるから帰ります」



「ああごめんなさい、気がつかなかったわ、楽しくて

・・お家の人が、心配するわね」





アカは、何も答えず、少し淋しそうにうつむきました。





「じゃ、おばあさん、ありがとう・・また、来ても良い?」



「ええ、もちろんですとも、毎日でも来てほしいわ」



それを聞いたアカは、飛びっきりの笑顔になって




「じゃ、毎日遊びに来ます」



そう言うと、ドアを出たと思ったら隣の丘に続く道を走っていきます。



それは

それは


足が速くて、すぐに森に姿が消えてしまいました。




おばあさんは、しばらくそこに立ったままでした・・。




そして、家に入ると

すぐに

「おじいさん、今日はとてもいい日になりましたよ」と、

いつものように写真に話しました。




写真のおじいさんは、いつもより嬉しそうに、微笑んでいるようでした。






翌日から、本当に毎日、アカは遊びに来てくれました。


おばあさんは、もうそれが楽しくて、ずっとこんな日が続いてくれたらと、


おじいさんの写真に、お願いをしていました。



・・・・・・



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