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悲しい想い出は 忘れなくていいよ。 大切にしまっていたらいい。 前に進む勇気が 君にはあるはずだから。。
童話「ともだち」
2018-08-01 Wed 00:00
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図書室へ行った。  
小さな茶色の本があった。
題名があった 「雫詩」 って。

その中のひとつに目がとまった。




「ともだち」




ちゅん、雀が、泣いた
大きな樹が、その鳴き声を聞いていた 。


「どうしたの?すずめさん?」
「あ、ぼくのこと? ・・・なんでも ないよ」

「そう、なんでも なかったらいいんだけれど」
「うん 、大丈夫だよ・・」


大きな樹は考えました
すずめが、足か翼を痛めているのでは?と、考えたからです 。


ちいさな動物は、自分の弱みを言いません。
嘘ではなく、生きるための知恵だからです。


樹はこの森にずっと生きてきて、力つきて、命を失くしていく者たちを見てきました。
だから、声をかけたのです 。


「よかったら、ぼくの幹の肩に乗らない?」
「うん、乗りたいんだけど・・足と翼、傷めたんだ。」


「やっぱり、そうかなって、思ったんだ。」
「え、分かってたの。」


「うん、その声悲しそうだったから、ね。」
「ばれちゃってたんだ、嘘、ついてごめんね。」


「ううん、いいんだよ、生きていくための、嘘なんだろ? しかたないよ。」
「ありがとう、声かけてくれて。」


「いいことある、ぼくの樹の幹の下に、ちいさな穴があるんだ、そこで暮らす?」
「え、ほんと?どこ、どこなの?」


「ほら、その、大きな石の横だよ。」
「あ、ほんどだ、ある。ぼくの大きさに、ちょうどいいや。」


「うん、そこで暮らしたらいいよ。 ずっといつまでも、いいよ。」
「ありがとう。」


すずめは、傷めた足を、すこし引きずりながら・・ 
樹の幹の下にある、小さな穴に入りました。


「どう?」
「うん、ぴったりだよ、温かいね。」


「アハハ、うん、ぼくもひとりだから、きみの温かさが嬉しいよ。」
「そうなの?こんなちっぽけな、ぼくの体でも?」


「そうだよ、きみは小さいけれど、とても温かい心を、持っているから。」
「うん、嬉しい、あ、虫がいるよ。この虫は、樹を食べる虫だよ。」


「え、そうなの 、怖いよ 困った。」
「心配ないよ、ぼくが追い払ってあげるよ。」


「お願い、助けてくれる?」
「うん任せてね、ぼくに 『はい虫さん 、外へ出るんだよ、いい?』」


虫は、今からこの樹を食べようとしていたのに、
すずめが来たので、慌ててみんな逃げて行きました 。


「アハハ、みんなどこかへ行っちゃったよ。」
「ほんと、助かった。きみは、命の恩人だね。」


「ううん、樹さんこそ。ぼくの命の恩人だよ。」
「これからも助けてね、ぼくもきみを温めるからね。」


「うん、一緒だよ、いつもね。」
「うん、いっしょだね。これからは、ふたり、一緒だね。」



寒い冬、今は二月、傷ついたすずめが生きていくには、
大変な季節でした 。


傷ついた足、飛べない翼では、食べるものも見つける事が、 出来ません。
だんだん、だんだん、やせ細っていきました 。


「?すずめさん、どうしたの?」
「うん、少しだけ、眠たいんだ」


「うん? 声、元気がないよ?」
「わかる? もしかしたら、ぼく死んじゃうかも、しれない・・」


「そんなことないよ、大丈夫だよ。」
「ね、樹さん、ずっといっしょに住んでいるけれど、名前は?」


「ぼく? ぼくはね、桜 って、いうんだよ。」
「桜 って、春になると咲く、綺麗な花の名前だね。」


「そう、知ってたの?」
「うん、お父さんに教えてもらった、とっても綺麗だよ って。」



「春になって、もっと温かくなったら、すずめさんにに見せてあげるね。」
「うん、でも、もう、春まで、生きていないかもしれない」


「だめだよぼくの綺麗な桜を見てほしいよ、すずめさんに。」
「うん、でも、もう眠たいんだ。ずっとごはんも食べてないし。」



「みんなに、声をかけるよ。すずめさんのごはんを持ってきて って。」



桜の樹は、みんなに声をかけました 。
森の仲間が、桜の樹に寄って来ました。


同じすずめたちも来ました、そしてそっと桜の樹の幹の穴に、
ごはんを届けました。
すずめは少しずつ、元気になっていきました 。




でも、
寒い寒い冬、元気をなくして、起きることも、出来なくなりました。



「桜さん、ぼくね、長く生きられないと思うんだ。」
「なんで?すずめさん?」


「だって、足と、翼が、動かないんだよ」
「うん、大変だね、でもね、自分で動かしていれば、治るかも知れないよ。」


「でも、だめだと思う。」 
「やりもしないで、駄目だなんて・・」


弱虫だよ、と、言いかけてやめました 。


小さなすずめ、短い命。
桜の樹は、もう何十年も生きてきたから・・




桜は、思い出しました ・・




一生に一度だけ、神様にお願いをして、奇跡おこす事が出来ること。
でも・・自分の大切な夢や宝物を、消されてしまう、悲しい掟があることも・・


「ねぇ、もし、ぼくがきみに、奇跡を見せること出来たら、考えを直してくれる?」
「奇跡?って」


「花が咲くのは、いつ?」
「えぇ っと、春だよね。」


「うん、今、季節はなに?」
「いま?今は冬だよ、春はまだずっと先だよ。」



「じゃぼくが、冬の今、桜の花を咲かせること出来たら、生きること、空飛ぶこと、もう一度頑張ってみる?」
「アハ、無理だよ、今は冬だよ。」


「うん、もしも、桜の花が咲いたら・・」
「うん、頑張ってみるよ、奇跡を信じて。」


「じゃ、ぼくの、穴から出てきてくれる?」


すずめは、穴から足を引きずりながら出てきました。
寒い冬、 それも夜でした 。
凍えそうな、 寒さでした。


「じゃ見ていてね、すずめさん。」


桜は、空の神様向かって、祈りました。



お願いです、ぼくの大切な、小さなともだちの、体を治すために、 命を救うために・・
冬の今、奇跡をおこす力を与えてください。


奇跡を見たら、きっと、足も、翼も、自分の力で治すこと出来ます ・・
ぼくの、夢や宝物が、消えてししまってもいいから ・・・



ふっと、桜にだけ、聞こえてきました 。



「本当に良いのか?桜の夢、春が来ても、もう二度と桜を咲かすことが、出来なくなってもか?」



桜は考えました、自分が生きている一番大切な夢、宝物は・・ 
春になると桜の花を、咲かすことだからです。


みんなから、綺麗だね って、言ってもらえる ・・
桜の樹の、たったひとつの夢が、桜の花を、満開に咲かせることだから・・



静かに、言いました ・・


「はい、もし、これから一生、桜の花咲かせること、 出来なくなってもかまいません。

どうか、ともだちに、奇跡があることを教えたい。 自分の力を信じて、生きていて欲しいから・・」




「その願い、聞きとどけたり。

ゆめゆめ、忘れるではないぞ・・ 

二度と桜の花咲かすこと、出来なくなることも、忘れるでないぞ。」



桜悲しかった 、もう二度と花を咲かせることが、出来なくなる・・


でも願いを聞いてもらえる、そのことも嬉しくて ・・

樹を震わせながら、泣いた 。



何も知らないすずめは、急に桜の樹が泣いたので、びっくりした 。



「ねぇ、どうしたの?桜さん」。
「ううん、なんでもないよ。」



と、だけ言ったまま、また泣いていました・・
そして、泣くだけ泣いたら ・・


空に向かって 

「神様!」

と叫びました



そしてまた

「願い叶えたまえ!」

と叫びました



・・・すると・・・



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童話「勇気」
2018-07-11 Wed 00:00
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図書室へ行った。  
小さな茶色の本があった。
題名があった 「雫詩」 って。

その中のひとつに目がとまった。



「勇気」



ホネストという町がありました。
小さな田舎町、
そこには善良で争いごとが嫌いな、住民ばかりが住んでいました。


みんなの自慢は、黄金の稲の穂と、困った時に助けてくれる神様と、
小さな田舎町を横断して走る、電車だった。


一年に一度だけ願い事を叶えてもらう、そのひとつが電車だった。
電車には、命があった。




プラットホームに 電車の発車を告げるベルが鳴った


「すまんのお 今夜は誰も乗らんようじゃ 気をつけて行っておくれ。」
駅員はそう語りかけた 電車に。


「なぁに、稲刈りに忙しくて、みんな疲れて寝ているんですよ、きっと」
そう、電車は答えた。


「そうじゃのお、今年は豊作じゃ、ありがたいことじゃ」
「はい、もう少ししたら、お米を都会にいっぱい運ぶ、私も大変だぁ」と
電車は、少しも困ったようではなく、嬉しそうに話した。





電車は、忙しかった。
時々、急病人がでたら、救急車の役目もして、特別列車として走った。
だから、子供電車が今年の願い事として、生まれたのだ。


「まだ夜は子供電車は走れんのかのお?」
「はい、まだ足は遅いし、慣れていないし、怖がりだし・・」
それだけは、すこし困ったようだった。



「じゃ、ご苦労じゃが、最終電車、行って来てくれるかのぉ」
「はい、安全運転で行って来ます」



電車は、ピーと、長い汽笛を鳴らし、走り出した。



しばらく走ると、そこは踏み切り
用心しよう、そう思った時。


踏み切りの上に、倒れているご老人が居る!



「あ、ブレーキが間に合わない!!!」



このままでは あの人を傷つけてしまう
そうだ 誰もお客さんが乗っていないんだ


とっさに考えた答えは。

じゃ、私が線路を離れたら、良いんだ!!


お父さん電車は 自分が傷つくのを覚悟で
線路から外れて 田んぼの中に突っ込んだ。



ギギーギー ドドド ドスーン



町のみんなは、大きな音に驚いて家から飛び出しました。
そして、しばらくして、やっと電車の事故だと気づきました。


「うーん」
命は助かったようです。
でも、ガラスも割れ、あちこちが傷つき、動けません。



「大丈夫かい?」
町のみんなは、声をかけてくれました。
「私は、いいんです、お年よりは?倒れていた人は?」



「あぁ、大丈夫じゃ、つまづいた時、頭を打ったようじゃ、命は心配なしじゃ」
「ああ良かった、本当に良かった。」


「助かった老人は、『すまんすまん』と言って、泣いておる」
「いいんです、命を助けることが出来て、良かった」





子供電車は、夜が怖くてお父さん電車の傍には来れませんでした。
やっと、朝になって、お父さん電車の傍まで。
でも、どうすることも出来ません、助ける力がないんです。



町のみんなから愛され、親しまれた電車、
その電車が走れないと、都会へ米も運べない、病人も助からない、本当に困る。




お父さん電車は、話しかけました。



「私の代わりに走っておくれ、線路も無事だったから」
「もう走りたくない、だって、怖いんだもの・・・」


「いいかい おまえは 何のために生まれてきたの?」
「・・・・町のみんなの役に立つため?」


「そうだよ、それが分かっているなら、走ってくれないかい?」
「・・・怖いんだ、だれか線路に倒れていたら、僕おとうさんみたいに・・」


「田んぼに飛び込めないのかい?」
「うん・・・。」


「命はひとつだけど、この命は、自分だけのものじゃ、ないんだよ。」
「命って、自分だけのものじゃないの?」


「ほら、みてごらん、お父さんの体を、あちこち継ぎはぎだらけだろ?」
「うん、右は青で左は赤で天井は黄色だ、不思議だな って 思ってたの」


「これはね、ポンコツとして捨てられたものたちから、集めて作られたからだよ」
「僕も、そうなの?」


「そう、だからたくさんのポンコツさんたちの命も、願いも、体に入っているんだよ」
「でも、やっぱり怖いよ、走るのは・・夜は真っ暗だし・・」


「・・・・。」
「・・・・・・・・。」





ずっと話をして、とうとう夜になりました・・
でも、子供電車は聞き入れてくれません。
お父さんは、困りました、自分の怪我は神様にも、治せないのです。



神様が願いを叶えてあげられるは、一年に一度だけ。
そして、今年は、すこし古くなったお父さん電車のために、
子供電車を願い、叶えてもらっていたから。






町のみんなも、困ったと顔をあわせては、ため息をつくばかりでした。



その時です。
あの、踏み切りで倒れていた老人が、ポツリと。


「わしが悪いんじゃ、すまん事をしたの、だから神様にお願いをして来る」


みんなはびっくりしました。
一年に一度の願い事の約束を破って、頼みに行くと願いが叶っても
命を無くす掟があったからです。


「駄目じゃ!」
「それは、やめておくれ」
「俺だって、そこで倒れていたかもしれん、お前だけが悪いんじゃない」


みんな口々に行くことを止めました、しかし・・老人は


「ありがとうのう、みんな。一度はおとうさん電車に助けてもらった命じゃ
恩返しをしても、ええじゃえろ・・。」



止めるのも聞かず、老人はひとり、神様の住む山に向かいました。





やっと山の麓まで辿り着き、山に入ろうとした時でした。


「老人よ、願いは年にいちどだけじゃ、命はいらないのか?」
「はい、今から山に入り、どうか願いを聞いてほしくて・・」


と、途中まで話した時。


「すぐこの場所から、立ち去れ!」
「は、はい・・あの、願いを・・」


「立ち去れ!」
「・・・はい・・」




やはり駄目だったのだと、二度目の願いは聞いてもらえないのだと・・
老人は願いも言えずに、とぼとぼと町へ帰っていった。



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童話 「小さな丘の小さな家」
2017-06-01 Thu 12:10
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図書室へ行った。  
小さな茶色の本があった。
題名があった 「雫詩」 って。

その中のひとつに目がとまった。



 「小さな丘の小さな家」




            
 小高い丘の上に、小さな家がありました。

家の前には細い一本道が、ふもとの町まで続いていました。



家の横には大きな橡の樹が、家を守るように立っています。

風がそよぐと、大きな掌のような枝や木々が、さわさわと、やさしい音を奏でています。



小さな家には、おばあさんが、一人で暮らしています。

昔は、おじいさんと、とても仲良く楽しく暮らしていましたが、今は一人になっていました。




おばあさんの楽しみは、おじいさんの写真に話しかけることでした。



小さなお花畑に、四季折々の花を植え、

花が咲いた事や、蝶やトンボが舞った事。


小さな命を大切にした、おじいさんの喜びそうな話を、

そして時には、子狐が遠くの森から遊びに来てくれた事も。




写真は答えてはくれないけれど、二人で暮らしていたときと同じように、笑顔で聞いてくれます。




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ある朝のことです。



小さな女の子が、ひとり赤いランドセル背負い、目の前の道を歩いていました。


見ていると、長い黒髪を風にそよがせながら、通い慣れたように、


早足で麓に駆け下りて行きます。


みるみる小さくなって、すぐに見えなくなってしまいました。



その日、自転車に乗って町まで買い物に。

行きは簡単。

自転車に乗って、子供のように両足をぴょんと左右に伸ばして、下り坂を駆け下りるだけです。

でも帰り道は大変、坂道の始まりから、自転車を押さなければいけないから。



登り坂、

自転車を押して

帰り道の時・・・



とうとう疲れて自転車を止めて休もうとした時、

急に自転車が軽くなり、前に進むではありませんか。



びっくりして振り向くと、朝の少女が自転車を押してくれていたのです。


「あら、まあ・・ありがとう」おもわず、お礼を言うと。



「坂道、大変だから、押してあげるね」と、言ってくれました。



女の子が「よいしょ」押してくれるので、

おばあさんも一緒に「よいしょ」と、掛け声をかけて、登って行きました。



一人で登る坂道が、

今日はとても楽しい帰り道になりました。




やっと家に着きました。




「ありがとう、本当に助かったわ・・えっと・・お名前は?」

「あかりです、みんなはアカって呼ぶよ」



「そうなの、じゃ、アカさん、お礼にジュースでも、どう?」

「うわあ、嬉しいな、良いの?」



「ええ、小さな力持ちさんにお礼をしたいから」と微笑みました。




おばあさんは、ずっとずっとひとりぼっちだったから、

本当に久しぶりの会話が嬉しくて、楽しくてしかたがありませんでした。




・・・・・




「おばあさん、暗くなるから帰ります」



「ああごめんなさい、気がつかなかったわ、楽しくて

・・お家の人が、心配するわね」





アカは、何も答えず、少し淋しそうにうつむきました。





「じゃ、おばあさん、ありがとう・・また、来ても良い?」



「ええ、もちろんですとも、毎日でも来てほしいわ」



それを聞いたアカは、飛びっきりの笑顔になって




「じゃ、毎日遊びに来ます」



そう言うと、ドアを出たと思ったら隣の丘に続く道を走っていきます。



それは

それは


足が速くて、すぐに森に姿が消えてしまいました。




おばあさんは、しばらくそこに立ったままでした・・。




そして、家に入ると

すぐに

「おじいさん、今日はとてもいい日になりましたよ」と、

いつものように写真に話しました。




写真のおじいさんは、いつもより嬉しそうに、微笑んでいるようでした。






翌日から、本当に毎日、アカは遊びに来てくれました。


おばあさんは、もうそれが楽しくて、ずっとこんな日が続いてくれたらと、


おじいさんの写真に、お願いをしていました。



・・・・・・



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童話「雷さまを泣かせた少女」
2017-05-19 Fri 00:00
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図書室へ行った。  
小さな茶色の本があった。
題名があった 「雫詩」 って。

その中のひとつに目がとまった。




「雷さまを泣かせた少女」




あぜ道の枯れ草が、そよぐ風に揺れていた。

乾いた土が、茶色の土ぼこりとなり、ぽつんと座っている老婆に吹きつけた。

淋しそうに空を見上げている。



「どげんしたと、ばっちゃん?」

「あぁ、今日も雨が降らんなぁと思うてな」



「うん降らんね、もうずっと降らんね」

「そうじゃ、もう二ヶ月も降らん、このままじゃったら、この土地を出ていかにゃならんかもなぁ」



「どうして、行かんといけんの?」

「米がでけん、米も野菜もみいんな倒れてしまいよる。

同じように人もみいんな倒れてしまうじゃろうなぁ」



「雨が降ったらいいの?」

「そうじゃ、恵みの雨が降ればなぁ・・」



「じゃうちが降らしたげる、うちの名前、めぐみ、じゃもんね」

「あぁ、優しい子じゃのお、めぐみは」  



「うち、神社に行って 神様にお願いしてくるけんね、ばっちゃん雨降るけえ、心配せんと待つとってね」

「あぁ待つとるよ、ほんに 気持ちだけでもありがたいのぉ」・・。




めぐみは一生懸命に走った。


まだ九才、初めて一人で。


昼でも薄暗く、怖いはずの神社に。


いつもはとても怖がりな娘なのに。


神社に一人で、行くなんて、普段では考えられないことだった。


自分でも、その勇気に気づいていなかった。


ばっちゃんを助けたくて、守りたくて、その一心で、走った。。




やっと着いた。


ばっちゃんがいつもそうしているように、鐘を鳴らしてお願いをした。



「ねぇ神様、お願いじやけん、雨降らしておくれ、

ばっちゃんを助けて、うち何でも言うこと聞くさけえ。」



突然大きな声が聞こえた。



「ほんとうか?!」



「え?誰?」



「何でも言うことを聞くというのは、本当かと聞いておるんじゃ」



後を振り向くと白髪の老人が立っていた。



不思議なことに足元には白い雲が。



雲に乗って宙に浮かんでいる。




「神様け?」



「そうじゃ、何でも言う事を聞くんじゃな!?」



優しそうな目をしている きっと 雨を降らしてくれると・・




「はい、何でも聞きます」




「雨を降らすのは、雷に頼まなければいけない、

しかし、二度と地上へ帰れないかも知れないぞ、それでも良いのか?」・・。




・・大好きなばっちゃんの 淋しそうな顔が目に浮かんだ・・



勇気を振り絞って言った。




「はい、行きます、雷さまの所へ。」



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童話「ゆびきりげんまん」
2017-01-11 Wed 03:14
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図書室へ行った。  
小さな茶色の本があった。
題名があった 「雫詩」 って。

その中のひとつに目がとまった。


「ゆびきりげんまん」


昔・・・昔・・・
あるところに
小さな森がありました。

みんな仲良く暮らしていました。

この森には決まりごとがありました。
神様から名前をもらうこと、殺し合いをしない。
この二つでした。
もし、約束を破ると、この森を出なくてはいけません。

季節はいつも春から夏の間のように暖かく
食べ物もいっぱいありました。
だからたくさんの動物たちがこの森にやってきました。

名前をつけてもらうこと、むずかしくはないんです。
何かひとつだけ、違うところがあれば良かった。

穴を掘るのが得意、力が強い、色を変えられる、空を飛ぶ・・・
何でもいいんです。

ある日のことです。
この森に一匹の虫がやってきました。

体が大きく、角が二本、力も強そうです。

でもほんとうは怖がりで、弱虫で・・・もしそんな名前つけられたら・・・と。
神様に会う勇気もなく、ぽつんと一人で考えていました。

名前をつけてもらう前は、名なし君とよばれます。
そんな名なし君を心配そうに見ている虫がいました。

テントウムシさんでした。
おなか空いてるのかな?友達になってくれたらいいな
なんでもはなしできる、本当のともだちに・・・。

ひとりぽっちでさみしそうな名なし君に、自分が集めた蜜をあげようと・・・。
声をかけました。

「こんにちは」
「あ、こんにちは」

「お腹空いてるんじゃない?蜜あげるね」
「ありがとう、もうおなかぺこぺこ」

「よかった それより お願いあるんだけど」
「僕にできること?」
「うん 友達になってほしいんだ」

「え、僕で良いの?」
「うん、僕も友達いないから、いいかな?」
「もちろんだよ、こんな僕でよかったら・・・」

一人も話し相手もいなかったから、すごくうれしくて嬉しくて・・・。

名なし君は、来る途中で池にはまったとか、夜一人でこわかったことなど・・・
やっとできた友達に今までの出来事を話しました。

聞いてもらえるだけで・・・うれしかった。
二人ともおなじきもちでした。

そんな二人を見ている黒い虫がいました。

黄色や赤の色もまじlって。

「やあ」

あぁ びっくりした~
ものすごく大きな体の虫でした。

「いいこと教えてあげようか?」
ふたりは「なに?」と

「森のはずれに蜜のいっぱい入った、時計という家がある」
ふたり「ほんとう?」
「うそなんかつくものか、ほら見えるかいあそこだよ」

ふたりが指差すほうを見たら、四角く長い大きな家がありました。
「いっぱいあるから いくらでも食べてもいいぞ ふっふつふ」

二人とも正直で、うそなんかついたことがありません。
だから、何も疑うこともなく、

「ありがとう」と言って家に向かいました。

(引っかかったな・・・)



そう言うと・・・
その 大きな虫は うしろから こっそりと 二人についていきました

ふたりはやっと時計の家につきました。

木の扉がありました、不思議なことに中が透けて見えるところもありました。
テントウムシさんでは扉は重くて開きません。
「じゃ僕が開けるね」
名なし君は、一生懸命に扉を開きました。

ギッギィー

やっとあいたときです・・・
どこからか、声がきこえてきました。

「ボーンボン誰じゃ?わしに何か用か?」

どこから声が聞こえてきたのか、びっくりして見ましたが誰もいません。

「ここじゃ わしは 時計じゃ」
どうやら時計の家が話していることがやっとわかりました。

二人は今までの話をしました

「ボンボン、わしの扉を開けても、中には何も無いぞ。」

テントウムシがいいました。
「え、でもむしさん、あ、名前聞くのわすれた、中にいっぱい蜜があるって、」
「ボンボン、そんなもんはないぞ、いや待て、お前たちに声をかけたのは黒い虫か?」

うん 二人はうなずきました。

「ボンボン、そして黄色や赤い色もある大きな虫か?」
「そうだよ」
ふたりは声をそろえて言いました。

「ボーンボンそれはいかん お前たちすぐに逃げろ」
え、何で?
「ボン、それはクモといってきらわれものでお前たちを食べるつもりじゃ、はやく逃げろ」

そのときです。

「そうはいかないぞ」 
隠れていたクモが突然あらわれました

ふたりが時計の家にはいったら 糸ででられないようにして
食べようとしていたのです

時計さんは森の仲間に助けを呼ぼうと大きな音をだしました

ボーンボン ボーンボン

テントウムシさんも助けを呼びに飛び立とうとしました。

目に見えない糸に絡まってにげられません。
クモの巣にひっかかったのです。

クモはだんだんと近づいていきます
名なし君は怖くてただ見ているだけです。

テントウムシさんが言いました。

「名無しくん逃げて 僕が食べられている間に 逃げて」





どすん

クモがたおれました。
クモはなぜ自分が倒れたのか、分かりません。
起き上がり、後ろを振り向くと・・・。

あんなにも震えて、ただ見ていた、名なし君がそこに居たのです。
真っ赤な顔で、怒りをいっぱいに表した、名なし君が。


名なし君がクモに体当たりしたんです。


自分のどこにこんな勇気があったのだろう。
何も考えていなかった、ただ、友達を、テントウムシさんを助けたくて!

あんなにも大きな相手に、立ち向かったのです。
もう何も怖くなかった 友達を助けたい、その一心でした。

名なし君が角でクモの糸を切りました。
「さ、今だよ、テントウムシさん逃げて!」

空を飛ぼうと羽根を羽ばたかせたとき、起き上がったクモが、また糸を吐きました。

「わっ」
テントウムシさんはクモの糸にからまって、地上に叩きつけられました。

「さあ・・・食ってやるぞ!」
「だめだー」

また、体当たりをしました。でも、今度は倒れません。
「もうゆだんはしないからな。」

どん!
名無しくんはつきとばされました。

体当たりがダメならと、今度は、クモの足を大きな角ではさみました。
「痛い、いたい、なんて奴だ、これでもくらえ!」

クモが名なし君の角に噛み付きました。
ポキリ

鈍い音がしました。
「あぁ~、痛いよー」

名なし君の角は一本が折れ、残った一本も曲がってしまいました。
血が流れ、痛さで気を失いそうです。

でも、でも、それでも、まだぶつかっていきます。
友達を助けたい。

一人ぼっちの僕に、声をかけてくれた友達を。
おなかが空いたとき、密をくれた優しい友達を
なんでも話ができる、初めてできた友達を・・・

守るために!

なんども何度も、また体当たりしました。
傷口から血が流れ続けました。
曲がった角が、さらに曲がりました。

でも、長旅で疲れ、お腹もいっぱいじゃないから・・・。
もう、もう・・・力があんまり残っていません・・・。

そのときです。

小さな羽根音がしました。
テントウムシさんが糸を解いて、飛び立った音でした。

「待ってて、助けを呼んでくるからね」
「あぁ・・・」
「生きていてね、死んじゃダメだよ・・・『友達くん』・・・」

「・・・・・・・・」

たしかに そう聞こえた「友達くん」と・・・。
たしかに、そう呼ばれた「友達くん」と・・・。

名なし君、ゃなかった。友達と呼ばれた。
嬉しかった、涙が一滴ポロリとながれた。

「あぁ・・・」

と、それだけの答える力しか、残っていませんでした。
どんどんテントウムシさんが小さくなっていきます。

ああ、よかった、良かった守れたんだ。
安心すると、力が抜けてきました。

ああ、もう力が残ってないよ・・・。
ああ、でもいいや、生きている間に、なにかできたんだから。

目の前がだんだん、白くなっていきます。

ああ、このまま、死んじゃうのかな?
ああ、テントウムシさん、さようなら・・・。

へなへなと、地面に座り込みました。
クモがゆっくり・・・近づいてくるのが分かりました・・・。



「・・・・・・・。・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


何かを言いました。でも、聞こえませんでした。
クモが名なし君の前足をつかみました。



その時です。

「来たぞー」
突然後ろのほうから、大きな歓声が聞こえてきました。
クモは逃げ出しました。


でも・・・
でも・・・。

傷ついているのか、逃げ足はとても遅く名なし君から、ゆっくり・・・ゆっくり・・・。
後ろを振り向きながら・・・離れていきました。

名なし君は、泣き出しました。

でもそれは角が折れて痛くて泣いたんじゃありません。
友達を守れた、それがうれしくて 嬉しくて。

すると、あんなに大きな虫と戦ったこと、急にこわくなって・・・がたがたと体が震えてきました。


声が聞こえました。
「間に合ったか」


神様と森の仲間たちが来てくれたのです。

「ボーンボン、みんな来てくれてありがとう、この勇者がテントウムシをクモからまもったのじゃ。」

神様はみんなの前で言いました。

「ぜひともお前に名前をつけてあげたいが・・・どうじゃ、希望の名前はあるか?」

名なし君は・・ただ・・・こわくて・・・怖くて・・・
歯ががたがた、足はブルブル・・・言葉になりません・・

「さあさ、遠慮しなくてもいいぞ。特別にお前の好きな名前をつけてやろう どんな名前にしたいのじゃ」

怖かった・・・コワかった・・・と言いたいのに・・・歯が震えて・・・
クワがった・クワがった・・・と神様には聞こえました。

うん・・・・?
クワガッタじゃと?
お前は「クワガッタ ・・・」?

そうじゃ 

「クワガタ」
と名づけよう・・・

みんな歓声をあげました

よかったね 
おめでとう 
ばんざーい 

これで弱虫の「名無し君」は森の一番の勇者として
「クワガタとしてその名を称えられました。
助かったテントウムシさんも大喜びです。

時計さんも森じゅうに響き渡るほどの、祝福の鐘を鳴らしました。

「めでたしめでたし・・・・ボーンボーン~~~♪♪」

しかし
物語は、終わりではありませんでした。
また、新たな殺し合いが始まろうとしていました。
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